【派遣法まとめ】派遣法改正案が本日可決!改正後に変わることと問題点をチェックしておこう

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労働者派遣法改正案が19日、国会衆院で可決された。
これを受けて、今国会での法案成立がほぼ確実になった。
派遣法改正で何が変わるのか。
今、派遣社員の人は絶対に知っておかないといけない。
そして、IT業界で働くのであれば正社員であろうが派遣社員であろうが、知っておかなければならない。

改正派遣法の施行は2015年9月1日の予定。
派遣法改正で変わることは大きく3つある。
これらを順に見ていこう。


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専門26業務の撤廃

  •  改正前
    これまで秘書や通訳など専門26業務(ソフトウエア開発や秘書、財務処理、書籍等の制作・編集など)では期間制限がなかった。
    それ以外は派遣契約3年が上限だった。

    専門26業務

    ソフトウェア開発・機械設計・放送機器等操作・放送番組等演出・事務用機械操作・通訳、翻訳、速記・秘書・ファイリング・調査・財務処理・取引文書作成・デモンストレーション・添乗・建築物清掃・建築設備運転、点検、整備・案内・受付、駐車場管理・研究開発・事業の実施体制の企画、立案・書籍等の製作、編修・広告デザイン・インテリアコーディネータ・アナウンサー・OAインストラクション・テレマーケティングの営業・セールスエンジニアの営業、金融商品の営業・放送番組等における大道具、小道具

  • 改正後
    26業務の縛りが撤廃された。仕事上、「26業務に当たる・当たらない」の判断がなくなる。

期間制限の導入

  • 改正前
    26業務を除いて業務ごとに最長3年までの派遣期間に制限されている。3年を超える場合は派遣契約を解除し派遣先企業が直雇用する必要がある。
  • 改正後
    個人単位の期間制限が3年上限。課を異動すれば3年を超えて就業可能。
    同一の事業所における派遣社員の受け入れは3年上限だが、組合などから意見の聴取で更に3年受け入れ期間を延長できる。
    つまり派遣先が希望すれば仕事をずっと派遣社員にさせることができるため、直雇用の人間が必要なくなる。

制度が許認可制になり厳しくなる

特定労働派遣と一般労働派遣の区別が廃止。
特定労働派遣は派遣元会社が正社員の雇用している人間のみを派遣する。
一般労働派遣は派遣先での就業期間のみで、派遣先を首になると派遣会社との雇用契約も切れる。

  • 一般労働派遣
    現状は、派遣元と雇用契約し派遣先で就業する派遣社員は一般労働派遣が主流
  • 特定労働派遣
    IT会社の正社員が他社に常駐出向する場合は特定労働派遣が主流
  • 改正前
    • 届出後即日可能
    • 資金、事業所面積など縛りなし
    • 更新手続きもなし
  • 改正後
    • 許認可制
    • 許認可受領から事業開始まで2~3ヶ月
    • 資金は1事業所当たり1500万円以上
    • 面積は20平方メートル以上
    • 更新手続きは3年、以後5年に1回

派遣法改正の問題点とされること

派遣法改正で焦点にされる問題は以下である。

  • 3年毎に人を入れ替え続ければ直雇用の人間で仕事をさせる必要がなく、派遣社員を無期限に使い続けられる。派遣社員でずっと仕事を回すことになるため、直雇用(正社員)の仕事が減る。
  • これまでの専門26業務においても、最長3年の雇い止めとなるため、転職が3年毎に発生する。
  • 法案では派遣労働者の雇用安定措置として「派遣先への直接雇用の依頼」は義務付けられているが、派遣先が雇用をするメリット、断ることに対するデメリットはない。
    現在の派遣法では専門26業務の派遣社員が3年を超えて同じ派遣先の仕事している場合、派遣先が新たな労働者の直雇用するときはその派遣社員に雇用契約を申し入れなければならないという「雇用申し込み義務制度」がある。
    しかし、改正後はこの制度はない。

派遣業界への影響

上に書いたように、正社員への門戸がこれまで以上に狭くなり、企業からすると安価に派遣社員でずっと仕事を回し続けることが出来る。
正社員になる気がない人にとっては、3年という縛りがなくなるので、むしろいい変更になるのかもしれない。
しかし社会全体からすると、正社員の仕事減りにつながるため、非正規雇用の増大につながり易く、経済への影響は少なくないといえる。

IT業界への影響

個人的にはこちらのインパクトの方が大きい。
現在、IT業務というのは、どの企業も技術者を案件契約単位で他社への常駐・出向という形態を取っている。必ずしもそうじゃないというのはあると思うが、一般的な話しではほとんどの企業がこういう体裁を取っていると思う。

  • 元受け発注企業 N社 プロジェクトチーム
    • N社の正社員
      (プロジェクト管理者)
      (A社社員とベンダー会社Xを管理)
      (A社から見るとN社の窓口担当者)

      • N社系列企業のA社社員
        (A社から親企業N社に出向常駐)
        (B社、C社社員を管理)
        (N社から見るとA社の窓口担当者)
      • A社協力会社のB社社員
        (B社からA社に出向→A社から親企業N社に出向の2重派遣)
        (N社から見るとA社の一社員)
        (実務担当)
      • B社協力会社のC社と契約している個人事業主SE
        (C社からB社に出向→B社からA社に出向→A社から親企業N社に出向の3重派遣)
        (N社から見るとA社の一社員)
        (実務担当)
      • N社が使っている製品ベンダーX社の社員
        (N社から見るとX社社員)
        (障害に備えての常駐のため、普段実務は担当しない)

例としてはこんな感じでプロジェクトを組んでいるところは多いはずだ。
IT業界においては、技術者派遣のため特定派遣労働で常時雇用となるはずだが、実態は契約社員の名目で3ヶ月間や6ヶ月間といった短期契約をして、協力会社社員という名目でプロジェクトに参加する形式が通常だ。

上にも書いたが、技術者派遣をしているソフト会社の実態としては、有名無実の零細企業なども多いが、改正後にこれらの要件に対応しなければならなくなった。

  • 「基準資産額2,000万円×事業所数」
  • 「現金・預金1,500万円×事業所数」
  • 「基準資産額が負債総額の7分の1以上」
  • 「管理責任者講習の受講義務」
  • 「5年ごとの更新」

零細ソフト会社でこうした要件に対応できず、準委任契約の技術者を引き上げざるを得なくなり、廃業や倒産というケースも今後出てくると思われる。

逆に技術者から見た場合は、これまで営業ルートがあれば零細ソフトハウスから大手N社への就業が可能であったのに、ルート元のA社、B社が廃業すると、N社への就業が出来なくなる。

個人事業主として自分で売り込んだり、能力を買ってもらってN社の社員になれる人はいいかもしれないが、それが出来ない人は就業先を失う。
更に、そうした技術者派遣の営業ルートを持つ企業が少なくなると、技術者自体が現行のやり方だと路頭に迷う人が多くなる。
技術者同士で、営業ルートの情報を管理したり、営業ルートを開拓したりといった動きが必要になるかもしれない。

筆者は今個人事業でIT技術者をさせて頂いているが、幸いにも大手技術者派遣の会社と懇意にさせて頂き、営業ルートを使わせて頂いているが、改正後は危機感を持って仕事に臨まないといけないと感じている。

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