下流エンジニアが常駐客先で生き残るために必要な意識と成果物

筆者は個人事業でSEの仕事を初めて、今年で3年目くらいだが、SEの仕事というのは、目に見えないものを形にするHUNTER×HUNTERでいうと『具現化系』のような仕事だ。
常に何かを作ることを意識する。
依頼されなくても時間が有れば作る。
むしろ仕事しながら作る。
今回は「何を意識して・何を作っているのか」をテーマに話しをする。


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個人事業でSEをやっていると、通常は案件単位で契約する。

多分、どの会社もそうだろうが、例え営業の間の交渉では長期契約になっていても、書面上は3ヶ月とか6ヶ月といった数ヶ月単位で契約書を取り交わす。
例えば3ヶ月間お客様の○○という業務の構築業務とそれに関する業務、受け取る対価(単価)を契約する、という契約書の取り交わしをする。

実際に現場に入ると、契約先のお客さんの会社で、筆者の業務を管理する担当者が付く。
個人事業主は起業している関係上、上司という存在はいないが、この人が一時的に直属の上司となり、指揮命令者でもあり、業務監督者であり、お客さんの会社の窓口にもなる。
ここではこの人を管理者と呼ぶ。
案件契約した筆者の仕事は、契約した業務を執行することだが、言い方を変えると管理者を満足させることである。

客先の管理者のタイプは様々であるが、要求されることは大体同じといっていい。

  • 依頼された仕事の進み具合を報告する
  • 仕事に関しての問題点を報告する
  • いつまでに・何が・どこまでできるかを伝える

管理者は、通常「プロ」であるこちらには何も言ってこない。
高い金を払って契約した相手なので、当然分かっているようなことは一々言わない。*1

言わないが、上に挙げたようなことはどの管理者も必ず求めてくる。
そこで、筆者はいつも誰が管理者であろうと、この3点は意識している。
そしてそれは大抵、ドキュメント(資料)・プログラム/設定ファイル・サーバー/ネットワーク機器の実装のどれかの形で具現化される。

今入っている案件は、国内最大手のシステムインテグレーター戦略会社のLinuxリプレース案件で、複数のRHELサーバーをオープンソースを使って構築する内容だが、今回どのように対応しているか、一つ一つ見ていこう。

進捗管理表 – 依頼された仕事の進み具合を報告する

形にしたものは、進捗管理表。Excelでファイルを作り、中にシートを4つ作っている。
当然、管理者から自分で管理シートを作れという指示はなく、空いた時間で作っている。

  • 作業履歴シート
    着手した作業、継続している作業、作業履歴を日ごとに付ける。
    これを作る理由は単純で、記録がないといつ何をやっていたかが分からなくなるためだ。
  • 資料管理シート
    今やっているフェーズがドキュメント作成なためもあるが、管理上、最重要となる資料の管理シート。
    資料の場所・修正したファイル名・なぜ修正したか・修正箇所・作業ステータス(未着手や完了)・作成期限など、資料作成に関する情報を細かく記録する。
    今行っている現場では内部レビューや外部レビュー、レビュー修正前、レビューコメント反映版など、フェーズによって資料の管理場所も細かく変わるので、どのフェーズで何の資料を「どの場所で(ファイルサーバのパス)」という部分まで記録しないといけない。資料管理を記録する目的は、自己防衛のためでもある。個人事業というのはフットワークが軽くしがらみに縛られないのがいい半面、会社の後ろ盾がないので個人のマンパワーがかなり必要になる。有体にいうと攻撃された時に会社という防御がないので直接攻撃が来る。HunterxHunterでいうと纏なしで念の攻撃を受けるようなもの。

    資料の作成にミスや問題が出てきたときに、あなたがミスしたんじゃないですかと言われることもある。
    その時に「その日に自分が作っていたのは、記録によるとこの資料のこの修正をしているので、その件は私が修正していた資料ではない。」といった事が言えるかどうか。*2
    個人攻撃やあらぬ疑いを避ける予防としても作業管理をきちんと付ける事は効果がある。この人はちゃんと記録を付けているのでいい加減なことは言えない、と回りに思われることは重要だ。

  • 問題管理シート
    作業上の問題点や、設計書どおり実装したら仕様と食い違う点、疑問点等明らかにしなければならない事柄を記載する。
  • メモシート
    付箋やテキストに保存せず書いたような瑣末な情報・メモを残すために記録する。

まずこうした管理資料を作っておけば、自分の作業の日々の状況が把握でき、今やっている資料も何がどの程度出来ているかがいえる。
作業ペースは早いか予定通りか遅いのかも伝えられる。
筆者も他ベンダの管理者をやっていたことがあるので分かるが、とにかく管理する側としては進捗がどの程度か・依頼内容どおりに作っているかどうかが非常に気がかりなのだ。
筆者の作っている資料で、彼らのそうした不安は払拭される。
彼らは筆者の資料を見たら、「ああこの人はちゃんと考えて進めているんだな」と思うからである。

問題管理シート – 仕事に関しての問題点を報告する

これも、話しをするときに進捗の話題と合わせて行うことが多いが、今進めている作業の中での疑問点、確認しておきたい点などがあれば、早めに報告する。
使うのは上記の問題管理シートである。
管理者というのは、常に不安と葛藤していて、何か問題が起きていないかと思っている。そこで、軽い内容でもいいので、捉えている問題を提起し、彼らに常に問題を報告していますよ、という空気を作る。
管理者は軽い問題でもクリアの方法を提示することで、プロジェクトの現状を把握できたと思って安心する。

いつまでに・何が・どこまでできるかを伝える – WBS任せにはしない

進捗については、特にITの仕事ではWBS(Work Breakdown Structure。システムの開発や構築においてプロジェクトチームの計画策定段階に作業項目の洗い出しとそれにかかる期間や担当者等を入れた線表。)資料で管理されていることが多いだろうと思う。
筆者の今所属しているプロジェクトもそうだ。
ただ、WBSというのは大線表で、プロジェクトの初期の段階で、机上で予想だけで管理者が引いたものに過ぎない。
WBSと実際の作業とのずれは、日増しに大きくなって形骸化するということが大半だ。(管理者によってはWBSを厳密に現状に合わせる人もいるので、ケースバイケースによるが)

そこで、WBSには期待せず、現状の作業の状況を整理するために上記の作業履歴シートや資料管理シートを見せて説明する。

「この資料修正は大体3日見積もっていて二日目で7割くらい修正しているので、オンスケだが、レビュー元の指摘が先週から10数件発生してきているので、後2日は修正に時間がかかる」といったことも、資料を見ながらだと論理的にいえる。

資料がないと、「レビュー元が沢山何か言ってきているので、あと1週間くらいかかるかもしれません」といった何の根拠もないことしか言えない。
会社員をやっていると意識が薄いかもしれないが、一日一日人がその場にいるだけで必要経費が発生している。

あと何日その作業にかかるかというのは、いつから次の作業に入れるかということでもあり、人がいつまでに何人作業に突っ込めるかという計算が成り立つ。
管理者というのは作業にいつ何人人を突っ込めるかということを常に考えている。
そこで、先回りして自分の作業の状況はこうなので、この辺までは拘束されますよ、この辺から空きますよということを伝えることで、管理者に要員の計算をさせやすくする。

本稿の終わりに

仕事の状況を具現化することで、自分の作業が管理しやすくなることは勿論、管理者への報告が容易になり、組織内で自己防衛やセルフイメージの強化にもつながるなど、様々なメリットがある。

*1:しかし、SEの契約というのは、会社間の取引でもありるので、「この月は要員何人お願いします」というような話を裏でやっておいて、頭数分の人間を入れるやり方が普通である。そのため中にはバーターで付いてくる品質の低い人もいる。彼らは同じプロジェクトにいても、出来て当然というような報告や作業も出来ない。それでもSEの契約はベストエフォートなので、成果物が出来なくても彼らに対する対価は支払われる。

*2:設定や実装で誰がミスしたかという話題になることもある。Linuxの場合は、TeraTermでアクセスした時にサーバログを出すように設定しておけば、その日のログとして残るので、証拠保全にもなる。

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