アサシンクリード シンジケート ゲームレビュー「大味なロンドン国盗りゲーム」【評価・感想】【PS4】

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PS4のアサシンクリード シンジケートのゲームレビューを上げる。(シークエンス9メモリー4全クリア済み)
アサシンクリードシリーズの最新作でヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたオープンワールドが特徴。
二人の暗殺姉弟を主人公に、アサシン教団とテンプル騎士団の暗闘を描く。
ドイル、マルクス、ディケンズやベルなど実在の人物も登場。
個人的には陰鬱で薄汚い18~19世紀のロンドンを闊歩できる夢のようなゲームの筈だったのだが、非常に大味であった。

アサシン クリード シンジケート
ユービーアイソフト (2015-11-12)
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レビュースコア

【PS4】アサシンクリード シンジケート 60点(/100点)

総評

このゲームには4つの側面がある。

  1. ロンドンのカラーギャング抗争による国盗り
  2. アサシン教団とテンプル騎士団の歴史上の暗闘
  3. シティアドベンチャー
  4. オープンワールドの探索

これらについて順に見ていく。

ロンドンのカラーギャング抗争による国盗りについて
ロンドン市街のマップが最初は全てブライターズという敵対ギャングが占拠しており、これに対し、ルークスというギャングを設立して対抗しようとする。
が、これが非常にお粗末な内容でただマップを赤から白に変えるのが非常に面倒なだけだった。

ロンドン市街のマップ。各地区に敵拠点があり制圧すると団体戦が発生して勝つとその地区が解放される。このゲームにはシミュレーション的側面はないため、純粋にアクション要素しかない。
アクションしかないゲーム性で国盗りを表現しようとしたため、マップ上にある敵ギャング拠点を次々に制圧していき、制圧100%になったら団体戦をして勝った方がその地区を制圧出来るという流れになる。

しかし制圧するために敵拠点でやることは児童解放かテンプル騎士団狩りか賞金稼ぎの何れかしかない。全ての地区の全ての拠点において、このどれかを指定され達成すると制圧度が上がる。そのためどの地区でも同じことの繰り返しになる。

また、制圧下の地区が増えても収入が多少増える程度でいいことは全くない。
例えば、この地区は縦横にある鉄道が交わる中心拠点で、現在は敵ギャングに抑えられているが、支配下におけば拠点同士の行き来が飛躍的に楽になる、といった特徴は全くない。
そのため機械的に制圧100%の地区を増やしていくだけになる。

ブライターズのギャングMobも動きは全て同じなのでまるでクローンを相手にしているようでギャングの地区ごとの特徴も何もない。例えばこの地区は銃を団体で撃ってくるとか、この地区のギャングは個人で動いているが一人ひとりが強い、とかそういった特徴づけは全くない。

また、こちらもルークスという味方ギャングがいるのに、事前のブリーフィングで「A班はこの場所に配置して敵の逃走ルートを押さえる役。B班は突入部隊で正面から敵征圧」といった戦略フェーズもない。
ただ現場に行って高所に上ってタカの目を使って場所を確認したら暗殺に移るだけ。

味方ギャングに対しても馬車を呼ぶ、着いて来させる、その場で待機させる、解散するくらいしか命令できず戦力としてはほぼ役に立たない。(偶発的に陽動で役に立っていることはある。)

上記のようにギャング同士の地区抗争という部分でのゲーム性はほぼゼロといっていいのだが、マップが広いのでこれにかける時間がかなり多い。この部分の『面白くなさ』はしかし、オープンワールドの移動の楽しさや快適さがフィーチャーされることで隠匿されてしまっている。(プレイ数時間してみないと、つまらないという部分が分からない。)

また、ゲーム性としても、ギャングの抗争と暗殺というのがどうしても筆者の中では両立できない。暗殺と言うのは正体、存在を秘匿して密かに行うものだが、このゲームの姉弟はギャングを率いて率先して抗争の先頭を切る。アサシンなのにそんなに顔バレして大丈夫なのかと思ってしまうほどだ。
ギャングを取り仕切る人物と暗殺者が別であればこの問題はないと思う。
が、ゲーム内では暗殺者弟のジェイコブがノリノリで「じゃあギャング作ろうぜ!ボスはオレな!」という程度のノリでギャングを設立し、冷静な筈の姉も弟の勢いに流されて団体戦ではノリノリで「この地区はもらったわ!」などと宣言する始末。

更に、ギャングの抗争という面からは外れるが、暗殺者一家の後継者の姉弟という彼らもロンドンには最初からいるわけではなく、圧制に苦しむ人たちを救うためにやってくるという設定になっている。しかし、上に書いたようにいきなりギャング団を設立して街で大暴れする。ロンドンにはアサシン教団のグリーンなど、予め組織ネットワークを腐心して造ってきた人物がいる。にも関わらずジェイコブとエヴィーは好き勝手をやってもお咎めなし。幾ら能力が高くてもこんな滅茶苦茶な奴等が組織内に勢力を伸ばしてきたら必ず内部粛清されそうなものだが、制圧が100%になってもそういうシナリオは今のところない。こういう部分もこのゲームが純粋にアクションゲームであり何も考えずにパルクールや暗殺ミッションを楽しんでくださいというゲームだからなのだろう。
逆にシリーズ初プレイの筆者にはそういう面ばかり目に付き気になった。

歴史の狭間で行われるアサシン教団とテンプル騎士団の暗闘について
現実からショーンとレベッカのカットシーンでもフォローされるし、ミッションでも主要な扱いを受けている。
但し、キャラクターのインパクトが弱いのでこの部分についても若干の弱さが否めない。
プレイアブルキャラクターはプリセットされているが、二人ともキャラクターに面白みがない。
ゲーム中では大量の敵組織の人間を排除・殺害することになるが、二人ともそういった設定の影の部分はなく、明るく元気な性格であり、軽口を飛ばしながら暗殺に精を出す。
人間が人を殺すということは、その事自体に目を背けられず、業を背負う事になる。その業が全く表現されていない気持ち悪さがある。

むしろないならないで、サイコパス的な部分もあって然るべきと思うが、彼らの立ち位置はあくまでもヒーローキャラである。それは彼らが基本的に強制労働を強いられている児童解放や社会から搾取している為政者を排除する等の善行をしているからだが、それにしても違和感を拭えなかった。

このあたりは、ウィッチャー3のモンスタースレイヤー・ゲラルトではどうだったかというと、彼も同じように社会の影の部分に生きるウィッチャーであり、自分が社会の嫌われ者で普通の人から見ると異端者、得体の知れない人物だがモンスターを退治出来るのも彼だけなので、必要悪として利用し利用される関係。ゲラルトもまたそういった視線に意識的で、有る意味達観さえしており、NPCから向けられる台詞やゲラルトの心情の描写からそのキャラクターの特異性がプレイヤーにも十分に伝わっていた。
アサクリにはそういう面は筆者には全く感じられない。
現実のショーンやレベッカが操作しているキャラクターに過ぎなくて、殺す対象もデータやプログラムだから、と言うなら一定の説明は付く。しかし、あえてそうしたプレイヤーに向けられる説明もない。

むしろ、『現実』から関与しているショーン・ヘイスティングスやレベッカ・クレインの方の人物説明が面白く興味があった。
ちなみに敵対勢力の主要人物については、皆社会的地位がありながらどこかクレイジーな雰囲気があり、良かったと思う。

シティアドベンチャーについて
このゲームではよく出来ている点の一つだと思う。特に、舞台と年代を生かして、サー・アーサー・コナン・ドイル、チャールズ・ディケンズ、カール・マルクス、チャールズ・ダーウィンなどとミッションで絡めるのは楽しい。

ロンドンを舞台にしたオープンワールドでの冒険について
このゲーム特有の移動の快適さと楽しさも加わりかなり面白い。
残念な点は、移動中に起こる群集イベントのお粗末さ。ウォッチドッグスと同様のつまらないイベントしか起こらない。
但し、列車の中で発生するギャング内の人間関係のイベントは面白かった。

総評すると、アサクリ特有のパルクールアクション、スピード感に加え、ロープランチャーによる高速移動で、ロンドン市街を駆け巡るのが楽しいゲームになっている。
オープンワールドの移動がこれだけ楽しいゲームは始めてだと思う。
ヴィクトリア朝の有名人と絡めるのも楽しい。
しかし、ギャング抗争のパートについては非常にお粗末と言わざるを得ず、ウォッチドッグスについても合わせるとUBISoftのゲーム設計の限界を感じさせる。

その他の評価点

[good]

  • 建物への軽快な上り下りとロープランチャーで移動経路が無限にある。移動しているだけで楽しい稀有なゲーム。
  • 小物類の美しさ。
  • バーでピアノの弾き語りでオペラなどが聞けたり、道端でバグパイプを吹いている人がいたりする。
  • ミッションの達成が自由。敵を全滅させてターゲットを仕留めていいし、ターゲット以外殺さなくてもいい。基本どおり隠密から暗殺してもいい。ミッションの達成には条件が付いているので、当然達成できない条件では獲得EXPなどが低くなるが。
  • ヴィクトリア朝ロンドンの陰鬱で汚い街中で行動できる。
  • 表示はされないが時間経過があり、雨や曇りなどの天候も表現。
  • QTEがほとんどない。
  • ドイル、ディケンズ、マルクス、ベルなどヴィクトリア朝の人物が登場して一緒にクエストを出来る。
  • BGMは弦楽器などが中心で時代背景を感じさせ気分を盛り上げる。
  • 霧の街ロンドンでのシャーロック・ホームズの活躍やジャックザリッパーの犯罪者のように、ロンドン市街での殺人や犯罪が起きる。そこに捜査を依頼され、状況証拠と容疑者の話から推理して犯罪者を告発しないといけない。ウィッチャー3での痕跡から何が起きたかを探るアクションに近いことがこのゲームでも出来る。

[bad]

  • ロードが長い。
  • 会話などで選択肢がない。
  • ミニゲームがファイトクラブとホースレースくらいしかなく、いずれもつまらない。時代背景で可能なカードゲームやギャンブルがあれば良かったと思う。
  • ギャング抗争に絡めたマップ制圧が面白くない。
  • ギャング同士の抗争なのに作戦立案出来ず主人公のアサシンが現場で暴れるだけ。
  • オフゲーなのにEXPブーストを売っている。
  • ゲームのベース部分が同じUBIsoftのウォッチドッグスに酷似している。
  • イベントの指示が説明不足でどこで何をすればいいか分からない事がある。
  • イベントの終了マーカーが別の場所に出ている事がある。
  • ロンドンのどの辺りにいるのかを簡易的でも常時画面表示して欲しかった。
  • 暗殺対象のMobが所定の場所にいない事がある。
  • 物や人が浮いている事がある。
  • カットシーンで人物が透明になっている事がある。
  • インファイトの戦闘はお粗末で申し訳程度のコンボ戦闘。
  • 味方ギャング、敵ギャングに特徴が全くない。
  • 群集イベントが面白くない。
  • 馬車での移動もあるが、見下ろしの馬車の操縦は雰囲気がなかった。ゲーム性からああいう表現しかなかったのだろうが、もう少し雰囲気を出してもらいたかった。
  • ロンドン市街マップの解像度を最小にしても全体を一望出来ない。
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